木は、鉄のように一気に倒壊することはありません。
木が燃えるスピードは、1分間に0.6ミリ程度です。
マッチ棒はすぐ燃える。でも太い柱は簡単に燃えるでしょうか。木材が燃える速度は、1分間にわずか0.6mm程度。決して速いわけではありません。しかも表面を炭化層にして、酸素を遮断します。炭化層が保護膜となり燃え進むのを防ぎ火の影響から木材の内部を守る性質があるのです。火災現場で柱や梁が残っているのを見たことがあるかと思います。構造材は太いので、焦げることはあってもほとんどの場合、燃え尽きることはありません。
図を見てください。鉄やアルミニウムが過熱開始後の数分間に垂直に近い状態で急激に強度が低下しているのに対して木は斜めに推移していて徐々に強度が低下している事がわかります。これは、鉄やアルミニウムが火災によってグニャリとまがってしまうのに対し、木は構造物としての形を維持し続け、避難時間をかせいでいることを意味します。木は燃えると表面に炭化層をつくって酸素の供給を絶ち、しかも、それが断熱材の役割をして、炭化速度を失速させるからです。
あってはならないことですが、万が一、火災になってしまった場合、発見者は誰しも火を消すことに必死になります。しかし、消火活動に夢中になって避難の時期を逃してはいけません。その避難の際に、木はその強みを発揮します。木が避難時間をかせいでくれるからです。 |